コスチュームジュエリーについて

コスチュームジュエリーについて

コスチュームジュエリーの材料について

デザインが主となるアイテムなのでその素材についての決まりはありません。多くは貴石の替わりに宝石に見立てて造られた色ガラス、金やプラチナの替わりにシルバーや真鍮、ホワイトメタルという合金が使われ、また20世紀には新しい素材としてベークライト、プラスチック樹脂やチタンなども使われています。

サフィレットグラス             

              サフィレットグラスとは、19世紀中頃、ガラス素材の装身具や装飾材料を生産することでは抜きん出ていた、チェコスロバキアのヤブロネツという街で作られ始めた、茶色又は紫、ピンクがかったベースカラーに、見る角度で鮮やかなブルーのフラッシュがシラー効果の様に浮かび上がるという、ユニークな偏光ガラスで、20世紀にはフランス、最後は1950年頃まで西ドイツで生産されていた事が分かっています。『サフィレット』『サフィリーン』と名称等も在り、その製法と共に、はっきりとしたドキュメントが見つからないままに、現在もその詳細が解っていません。一説にはコバルトに金を入れたり、砒素を入れたりすると言われておりましたが、分析によると他のボヘミアンガラスと同じく、特別なものは見られず、どうやらこの色作ることが出来るガラス職人が、かなり限られていたことで、伝説が生まれたようです。アクセサリーの材料や宝石箱、手鏡等の雑貨飾りにも用いられ、光沢のあるカットされた物、艶消し消し加工された物と、当時生み出された多くの装飾用ガラス材料等と組み合わされ、バラエティに富んだデザインも多く、ヨーロッパやアメリカでも人気の高い、一つのコレクターズアイテムとなっています。

ボヘミアン・グラス

珪砂、酸化カルシウム、酸化カリウムでつくられるガラスで、多くの色、デザインがあり、当面感も高く、硬くカットに適しているのが特徴です。コスチュームジュエリーの材料の製造場所としては、チェコスロバキアのヤブロネツという、ドイツ国境に近い場所で大量に製造され、第2次世界大戦まで、製品まで含めて一括生産までされ、世界中に輸出されました。ガラスと共に、メタル部分の製造にも独特で、際立った雰囲気の物を多種類製造し、見事な製品を作り上げていました。

ヴェネチアン・グラス

              

イタリア、ヴェネチア生まれのガラスの総称のことです。ソーダ石灰を使い吹きガラスで作る色鮮やかで繊細な模様入りのタイプが多く、ガラスそのものの柔らかさからカットには不向きで、装飾はガラス棒を炙り溶かしながら巻き付けつつ、盛り上げる様に行うタイプがほとんどで、形は球形、ナツメ型とシンプルですが、金箔等を使いながら行うので、華やかで装飾性の高い事があげられます。現在ではアクセサリーの材料として製造を続ける職人は僅かで、ヴィンテージのものは益々人気が高くなっているアイテムのひとつです。

ラインストーン

昔ドイツのライン川で取れた水晶からその語源は有るようですが、カットしたガラスの裏に鏡面加工をしたアクセサリー様に作られた模造宝石の事です。色も形も大きさも様々ですが、その殆どはオーストリアにあるスワロフスキー社のものが美しく世界的シェアを占めています。

フィリグリー

             

極細の金属線で使いレースのような編み模様を表現した装飾方法で、コスチュームジュエリーの世界では、チェコスロバキア製の真鍮製で作られたものが有名です。糸のように細い金属を鉄製の抜き型を使い、一つ一つ抜き、その部品を手作業で溶接、複雑に組み合わせて立体に表現し、それに様々な色のボヘミアン・グラスをはめ込んだ物は19世紀後半から20世紀、アール・デコの時代にかけて多くが生産され、世界中で人気を呼びました。

アメリカン・サインド・コスチュームジュエリー

    

20世紀初頭のヨーロッパ製コスチュームジュエリーと違い、アメリカで作られた製作カンパニー名、製作者名カンパニーシンボル等が打刻されているアクセサリーのことで、1930年頃から北米の各地で大量生産を目的として作られましたが、他社と区別化するために用いられました。そのデザイン性と装飾性は見事で季節毎に変わるファッションと共に新作を提案。雑誌等当時主流のメディアの中で、社名と共に美しく飾られた、それぞれの特徴を持った品が提案されました。製作者が解るだけにコレクターズアイテムになりやすいのが特徴。ビッグカンパニーとしては、コロークラフト、トリファリ、サラ・コヴェントリー、ミリアム・ハスケル、ワイズ、etc…などが有名で人気も高い様です。

ロストワックス

          

デザインからオリジナルの原型を金属で製作、それを基本にゴム型を製作、そのゴム型にロウを流し込み大量に数を作り、それを木の枝のように大量に繋げ、溶かした金属を流し込んで、冷えて固まった後に切り離し、磨きやメッキをかけ、石をセットして仕上げるという、一挙に多くの製品を作る為の、一つの装身具における生産技法のことです。コスチュームジュエリーの場合は、スズ、亜鉛、鉛、アルミニウム、アンチモンの合金であるホワイトメタルという素材が多く使われました。柔らかい素材ゆえに大量に製造出来るのが最大のメリットで、20世紀特に1940年以降の多くのコスチュームジュエリーがこの技法で作られています。