小ブローチ

20世紀中頃まで、アクセサリーの中での種類の多さでは圧倒したブローチ類。特に20世紀初頭まで造られていた、極小のブローチに、意匠の美しさを感じることが多いです。基準の大きさに決まり等はありませんが、3センチ以下のサイズでも、キチンとブローチ針の設定がされています。当時の通販の冊子などを見ると、単に『brooches(ブローチ)』という表現から『Handy Pins、Cuff pins、Bib pins、Lace pins…』など、多くの呼び方がありました。素材も銀、真鍮、ガラス、木、自然素材、日本製セルロイド等多岐にわたり、デザインも当時の流行に合わせて多くが造られ、中には雑誌の付録に付けられたりと、最も身近なアクセサリーとして使われ続けました。近年では、装いの変化と共に用いられなくなったアイテムですが、本来は肌に直接着けない唯一の装身具なので、どれだけ大きな物でも負荷がかからずに使えることが出来ることと、他の装身具と違う用途の目的を担う唯一の品であり、首元に巻いたストール、マフラー、胸元の大判ショールの合わせに使ったりと、道具としても便利な品。勿論装飾が一番の目的ですが、上手に取り入れて、個性を引き立たせることが出来る装身具です。