PLATINON

                                    

18世紀にコロンビアで鉱山が発見されたプラチナという素材は、硬く溶けにくい扱い辛い素材だった為、20世紀に入る頃にようやくジュエリーの素材として使われ始めます。加工技術の躍進で、1910年以降には細い爪で石を留めるのには最適なプラチナが重宝し、石の輝きを見せる技術が上がる事で、より宝石を楽しむ選択が増え、多くの新しいデザインの宝石が作られました。
人気絶頂だったプラチナを、1922年イギリス、バーミンガムの宝石商ジョン・ウォールは、何とか別素材で似たものを再現できないかと試行錯誤し、登場したのがプラチノン(PLATINON)と呼ばれる合金です。この時代には、他にもオスミオール、プラトノール等と、プラチナに似せた金属が多く登場しましたが、プラチノンは装身具に特化。その風合いと共に造られるデザインがプラチナ製品のジュエリーに酷似。アールデコのデザインが流行った頃、細いフレームにヴェゼルセットされたクリスタルを繋ぐ細いチェーン、デザインされたバー、極小のガラス真珠等、イメージは何もかもジュエリーのそれと同等です。判別は留め金のワカンに打刻されるPLATINONのサインの有無で容易に分かりますが、打刻の無い品もあります。リアルとフェイクという言い方をしてしまえば、それまでかもしれませんが、たとえ見た目だけであっても、プラチナ同様の品を造り、女性たちの胸元を飾ろうと、意気込んだ当時の商人たちの意気込みが知れる美しい品として、アンティークの世界では評価の高い、そして短期間だけに製作されていた故の希少な商品群です。