文字通り『真珠の母』…。真珠を育てる母貝の部分を素材として使った装身具の一つの素材です。世界中の川や海に生息する貝の中でも、比較的大きな二枚貝の中でも真珠層を持つ貝(白蝶貝、黒蝶貝、アワビ貝、川真珠貝他)の内側に見る真珠質の部分を削り出し、加工して使いますが、独特の玉虫の様な光沢と色味が楽しめます。
元より日本の場合は真珠そのものよりも、母貝の真珠層に美しさを見出していた様で、奈良、平安時代の宝物を収める正倉院に、母貝を用いた装飾工芸品等を多く見ます。
西洋では、装飾品の材料として3千年も前から登場し、中東のバビロン王朝では金銀財宝と共に副葬品を飾る一部に使われていたり、中南米メキシコの部族には、マザー・オブ・パール製のネックレスを着ける事で、悪から身を守ると信じられていました。
欧州では15世紀チューダー王朝期に繁栄を導いた、大英帝国の君主エリザベス一世によって、『Mother of Pearl』と名付けられ、装身具に取り入れられたりと、長い歴史を持ちます。
一見、本真珠の様に見える場合もあるのですが、希少性は無い素材の為、近年では比較的カジュアルな日常的に使用出来る装身具の材料として、多くの形にカットされ、ビーズ加工されたりして使われています。
多孔質構造ゆえに表面には無数の穴が在り、その部分に経年で汚れが付く事で、反って風合いが増し、独特の経年感を見せるため、多くのファンが居ます。