ニャンコ映画

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13時からとなります。

ヴィクトリア時代後期に生まれ、猫の画家として
一世を風靡、後に精神を患い、没したルイス・
ウェインの生涯を描いた映画が封切り中。

「ようやくというか、今頃作ったの?」が正直な
感になるほど有名な人物。

彼の描く猫の絵は、イギリスのアンティークを
知る人ならば一度は聞き、その作品…絵本や
グリーティングカード、絵葉書等で手にした事が
ある筈。

一家の主として、生活の為に売り絵画家として
世間に出て、彼の描く擬人化された猫世界の
絵は大人気となるものの、著作権や契約事には
疎かった故に搾取され、いつもお金には困って
いたとか。

人気とは裏腹に現実は悲しい展開を送るルイス。

その彼が唯一慰められ、そしてインスピレー
ションの元であったのが、愛する妻と飼い猫
たち。

映画はその部分を丁寧に描き、主人公ルイスを
今や脂の乗ったベネディクト・カンバーバッチ
が楽しそうに演じています。

史実として、彼が一時期精神疾患の治療の為に
在していたロンドン南にある歴史ある(何と
1247年設立)精神病院『ベスレム王立病院』
には、ロシアのバレエダンサー、ニジンスキー
を含む多くの芸術家と呼ばれし方々も在し、
その一角にそうした人々が遺した作品が今も
保管され、美術館として一般に開放されて
いるとかで、勿論そこにはルイスの絵も多々
保管されている事では有名。

猫はもともとはネズミを捕らえる使役動物で、
ペットという意識で飼い始めるのは19世紀に
なってから…何て事も含め、当時の常識、
非常識、身分や男女格差等など、イギリスに
根差した多くの事実、ギャップも考えさせ
られる内容。

堅苦しい規律を背景にした当時のロンドンの
中流家庭のギリギリ悪趣味(?)と思えなく
ない室内インテリア、対極のカントリー
サイドの美しい自然風景が描かれ、今直ぐに
でもイギリスに駆け付けたい気分にさせら
れる映画です。