とうとう桜の花も開花して、春たけなわ宣言の
始まり。
アクセサリーという身を飾るモノの中で、一寸
別方角から造った、キッチュな趣を感じる品。
廉価な素材でなければ、面白さが伝わらない
という分野も存在します。
画像は20世紀初頭のチェコスロバキア製の
ブローチ。
竿の先に網が下がり、その網の上で生きのいい
お魚が跳ねている図をモチーフにしたもの。
ユーモラスな魚の顔、編みの表現の細かさ、
少しゆがんだ竿の雰囲気…どこから見ても
ユニークそのもの。
ただの魚のブローチという解釈でも良いのですが、
実は4月1日、エイプリルフールの日は、フランス
では『ポワソンダブリル(四月の魚』と呼ばれる
行事。
フランス文学、社会研究者、鹿島茂氏によると、
かつては年の始まりは4月1日であったものの
1564年に現在の1月1日に移行。
それでも頑なに昔の風習を護り、祝う人と習慣を
時代遅れと揶揄するために、この時期の星座、
魚座のままの人=時代に取り残された人という所
から、魚の絵を分からない様に背中に貼ったりする
遊びが流行った様。
確かにアンティークの絵葉書には、愛らしい子供が
グロテスクな魚を抱えて笑っているグリーティング
カード等が在るのですが、このエイプリルフールの
お祝いカードの様で、その習慣がフランスにのみ
在るというのも興味深い所です。
このお魚のブローチが、それを意図して造られたか
どうかは分かりませんが、可笑しな魚の表情と
雰囲気から、楽しく使える事間違いなしのブローチ
です。