宝飾時代

更新した商品群の中にある、一寸地金多めの
金とパールのブレスレット。

最初はパリでジュエラーとして活躍し、後に
アメリカに移り、コスチューム・ジュエリー
会社を立ち上げたサンドラ・ブーシェによる
品です。

時代は1950年代。

ジュエリーは昼用夜用と意識的に分けられ、
昼はシンプル、夜用は地金をたっぷり使い、
良質のカラーストーンをたっぷり盛って、
豪華なパリュールと呼ばれるフルセットの
贅沢な宝石らしい宝石が造られました。

ブーシェのブレスの背景に置いたデッサン
画も、同時代のカルティエ製。

もしかしたら、カルティエで働いていた頃の
ブーシェによるデザインだったかも⁉と想像
するのも楽しい事。

どちらもデザインスタイルは同様で、使われて
いる地金だけが違うのが一目瞭然。

コスチュームジュエリーとは、あくまでも
本物からインスパイアされた、廉価な素材で
表現された装飾品。

ゆえにオリジナルが華やかにならなければ、
こちらの方も比例せず。

この頃は、金地金の高騰で、どのメーカーも
地金重視の品を作らず、お客も求めず。

勿論素敵な品ならば、地金の量云々は二の次
ですが、どうにもピンとこない現代モノ。

造る方も、お手軽に造れるCADなんてモノが
登場したから?

良質な天然石が採れず、地金が高騰し続ければ
残念ながら宝石も衰退の一途をたどるのか。

この業界の隅っこで、流れを見つめるこの頃
です。