ブルー・スワン

買い付けに向かうと、いつも「ああ…この品と
出逢う為に今回は呼ばれたんだ」と思う様な
時間が一瞬だけ止まる様な感覚を抱く出逢いが
あります。

それは値段の高低、時代の深浅とは一切関係
無く、ただ心の奥に響いて、情感が寄せられる
物であるかどうか。

そういう品と出会えるかどうかだけが、最近は
焦点かもしれません。

昨日のギリシャ竪琴のリング同様、この小さな
品も、そういう想いに捉われました。

銀のフレームにセットされたブルーガラスの
湖に、ペーストが埋められた一羽のスワンが
象嵌されて泳ぐ、19世紀の中頃のイギリス製
と思われる小さなブローチ。

丸いフレームの周囲には、極小ペースト。

リンクした小さなペーストの下に、更に
ドロップがスィング。

18世紀後半に始まり、流行したロイヤル
ブルーのエナメルを使用した一連のジュエ
リーですが、それが1世紀経って19世紀から
20世紀迄、そうして流行を保持していた事が
解ります。

とても残念なことは、品はたった一つだけ…
という事でしょうか。