装いと装身具

例えば着古したデニムに、シンプルな綿か麻の
シャツ。

その首元にショートのパールネックレス。

春になると必ず登場する組み合わせです。

そんな装いが洒落て見えるのは何故かと、
ずっと考えつつ、言葉に置き換える事が出来ずに
いました。

ウチで一番お洒落さんのお客様のU様。

いつも上手にヴィンテージの服を着こなして、
その認める所は、街を歩いている時に
ファッション雑誌の記者に呼び止められる程。

彼女なりのルールとして、全てを古いもので
まとめず、 その中には必ず最新の物を1点
加えます。

ある日のコーデは、1970年代のピエール
カルダンのコートに、つい先日出たばかりの
別ブランドの最新のエナメルのバッグを
組み合わせるとか。

新と旧、光沢とマット、柔らかいものと固い
もの、スノビズムとハイブロウ…。


全部を一つのテーマで集約せず、相反するもの、
メリハリを付けることこそ、最大効果を生む
テクニックではないかと気付きました。

甘さを引き出すために、一つまみの塩を
隠し味の様に入れる料理テクニックの様に、
カジュアルなファブリックの中に演出する
エレガントな光沢のパールが魅せる
アンビバレント(相反)なもの。

モコモコセーターに、硬質な金属で出来た
大振りなブローチやペンダント。

硬いデザインのマニッシュなジャケットの
胸元に、キラキララインストーンが盛られた
ブローチ。

黒が多かったシャネルの服ですが、彼女の造る
コスチュームアクセサリーのほとんどは、
黒では無く相反する万感色であったように。

う~ん、口で言うのは容易ですが、形にする
のは要努力。

オシャレ感覚は一日にして、成らず。