水晶菫花

~お知らせ~22日(月)は定休日となります。

この旅先、フランスでもイギリスでも多くの
春の花を見た店長でしたが、何故か何処にも
見かけない花が一つ。

野スミレです。

固くなに5月の開花を待っているのか?…と
考えていたら、最後の日の最後の買い付けで
ロッククリスタルのリバースインタリオの
スミレの花が、天からフワリと舞う様に、
手元にやって来ました。

あと数時間で、機上の人となる店長に向けら
れた花束。

ディーラーさんの小さなガラスケースの中、
コロリとひっくり返って裏返しで納まって
いたモノに目を留めたのが最初でした。

数は見ますが、納得出来る美しいエセックス
クリスタルを仕入れるのは、実に15年以上
ぶりかもしれません。

ポッテリ厚めにカボッションカットされた
水晶の裏面に手彫りで動物…馬やキツネ、
愛玩の犬や猫、鳥等どちらかと言えば動物を
彫り込んだ物が主のエセックスクリスタル。

製品では男性のカフス、アスコットタイ用の
ラペルピン等、一寸男性的なムードが漂う
ジュエル。

女性的な花のモチーフが登場するのは、登場
からはずっと後の様で、スミレ他、スズラン
薔薇が今まで扱った事のあるモチーフ。

しかも本来イギリス製である筈ですが、
この品にはフランスの1838年から1919年迄
金製品に打たれたホールマークが認められ
ます。

小さく束ねられたフレンチヴィオレは、
マザーオブパールの裏打ちが施された18金
惑にきちんと覆われ、花束には細い金色の
リボンまで巻かれ、枯れないままに今も
香しい甘い香りを漂わせているかの様。

「誠実、謙虚」花言葉もつつましやかな、
路傍に咲く花のイメージそのもの。

この小さな金枠のエセックス、スミレ
ブローチは、どんなワケが在ってイギリス
→フランス、そしてまたイギリスと旅を
したのか。

どんな淑女達の胸元を飾って来た事か…。

想像の旅がたっぷり楽しめそうな逸品。

本音を言えば、少しの間店長の手元に
留まって欲しいとすら思える逸品です。