リング・オルフェウス

高額故に仕入れるまで、随分と考えたのですが
仕入れた途端に気分が上昇した品。

今回この品と出逢うために呼ばれた品かもしれ
ないと思うほど、今はお気に入り。

縞瑪瑙にギリシャハープがインタリオされた
シンプルなリングです。

ギリシャハープといえば、ギリシャ神話に登場
する吟遊詩人オルフェウスが有名。

そしてオルフェウスと言えば、彼の愛妻エウリ
ディーケとの話が有名で、数多の芸術家が刺激
され、絵画やオペラに至る、多くの芸術作品で
楽しむ事が出来ます。

店長的には、20世紀にフランスで活躍したアーティ
スト、ジャン・コクトーが、この神話を元に製作
した映画『オルフェ』が最も記憶に残ります。

愛する妻エウリディーケを亡くしたオルフェが、
蘇りを切望し、冥府界へ向かうという設定を現代に
置き換えた1950年のロマンティック幻想映画。

亡くなった妻を取り戻す為、冥府に入るオル
フェウスですが、その世界を出るまで、絶対に
振り返ってはならないと言われ、妻の手を後ろ
手に繋いで黄泉の国から脱出する二人ですが、
最後の最後にそれを破り、永遠に二人は離れ
離れになるという悲劇を、オリジナルの
ストーリーに書き換えて造られた映画は、
モノクロ映像の耽美な美しさと共に、技術が
無い時代に試行錯誤して造られたCG効果も
効いていて、興味深く見た大好きな映画です。

…そうなると、このリングはもしかすると女性
では無く、愛する妻を亡くした男性がその神話
を基に造り着けた、ある種のモーニング(喪用)
ジュエルかもしれないと思うのは、考え過ぎ?

余談ですが、このコクトーの映画『オルフェ』
ではオリジナル登場人物として、冥府と現生の
伝令役ウルトビーズ(フランソワ・ペリエ)が
良い味を出していて(否エヴァンゲリオン)
主人公のオルフェ(ジャン・マレー)より好き
かも~!と思った、脇役LOVEな店長です。

P.S.リングは現在商談中です。